| クロシオ試乗レポート 第3回 |
クロシオの血筋 漕ぎ出してみる。旧クロシオよりもストロークが軽い。 ボトムの面出しが徹底的にされミラー状につるつるだからか? 精度が良いのは、もちろん速度に比例するはずである。
また 船体中央のキール形状が旧クロシオよりも強めになっているのが貢献しているのだろうと思った。
七桶湾内でのNEWクロシオの試乗は、私の期待していたとおりの動きをしてくれた。
旧クロシオの基本的な性能はちゃんと引き継がれながらも、また一味違ったスムーズな動きを実感することもできた。
パドラーの言うことを良く聞いてくれる素直な操作性、クロシオの乗り味は健在である。NEWクロシオのシート周りは、居住性が向上しとてもタフになった。おかげで リーン操作の時に心おきなく「エイヤーッ」と思いきったグリップやボディアクションができる。サイブレイス周辺に接着されたネオプレーンゴム製ニーパットは、5mm厚に変更され具合が良い。また 微妙に形を変えたチャインも少し控えめでありながらも倒し込むほどにいい具合に効いてくれるので、リーンコントロールが軽くなった感じがする。しかし、エッジの効きも悪く無い。いや!とても良く効いているように感じた。反比例する要素の性能だがうまくバランスが取れている。 NEWクロシオは、旧クロシオに比べると、大幅にデッキの浮力が増加している。そのプラスの結果として、思っていた以上にローリングバランスが良くなったのが嬉しい。大きく寝かせた時にも不安感が少なく安定した操作ができる。一緒に試乗してもらったクロシオに10年近く乗っているベテランの意見でも、グリーンランドスカーリングで90度にリーンさせた状態をキープさせやすいとの感想を得られた。旧クロシオの苦手だった100度〜120度あたりのリーンも問題を感じなかった。スキルしだいだが360度コントロールOKである。 ![]() これらの特徴は、旧クロシオのハッチ周辺部の凹んで折れ曲がったデッキの形状をフラッシュサフェースにデザイン変更した際に得られた産物である。 カーゴスペースの空間を拡大した分だけ浮力を得られたのである。 シーカヤックのデザイン上、浮力を得る為に、いたずらにフリーボードのボリュームを増やしてしまうと風圧による問題が発生し てしまう事が多いのだ。 今回のケースは、ボリュームが増えたが、凹凸が減ったので空気抵抗のデメリットは相殺してしまっている。 ガンネル上部のデッキからバウ(スターン)に向けて反りあがったエッジラインの出っ張りも顕著に拡張されている。 バウが波に突っ込んだ時に上昇するように施したものであるが、その為にデッキ横幅のボリュームが拡張され浮力にも貢献している。
またウオ ーターライン最大幅からバウ・スターン方向へのカーブラインも若干なだらかになっていてリーンの安定に役立っている。 さらに剛性アップと波対策の為にデッキ全体を尾根様形状にデザインしたことも影響しているかもしれない。
また カッティングラインを上向かせ、バウとスターンの3面と3本のラインを自然にまとめた結果、バウとスターンの先端位置が、それぞれ旧クロシオよりも20mmアップしている。ロッカー&シーアのカーブを強く(反らせた)したので、エスキモーローリングの復元性も格段に向上しているはずである。 時化の海へ ![]() 七桶堤防の外へ漕ぎだす。しだいに南西風が強まって来ていた。沖から釣り船が一斉に帰って来るのが見えた。 釣りボートが、3艇ほど強風に吹き寄せられて転覆し、磯や浜に打ち上げられてパニックになっていた。 そのうちの1艇が漁港のテトラに衝突して危うい状況だったので陸路からの救助者が集まっていた。 私もNEWクロシオで海路レスキューに急行したが、乗っていた2人は、岸まで自力で泳ぎ着き無事だった。 おかげで波を乗りきるダッシュのテストもできたし、躊躇することなくチョッピーウエーブのロックガーデンや浅い磯にも突入テストすることができた。 押し寄せる崩れ波の中で岩を避けながらの操艇は、軽快でとても安定した動きができた。 艇前後のロッカーの反り上がったデザインが功を奏しているのか波の中でターンが楽しい。 サーフィン 森戸海岸の波打ち際でサーフィンにトライしてみた。艇のボリュームアップを感じさせることがなく旧クロシオと全く同じ性能でサーフィンができる。感動したのは、いくら波に揉まれても、ジャンプしても振動が少なく、ボディは、捻れたり、たわんだりする気配はなかった。ボディ剛性が素晴らしい。きっと、特大サイズのダンパーウエーブをまともにくらっても艇は大丈夫であろう。わざとレイトテイクオフしてみたが、加速しながらバウが浮き上がろうとする動きが嬉しい。進水初日だから、あまり無茶をしないことにする。 沖出ししてみた。風速10メートル位、向い風で名島を目指す。波を乗り越える際もピッチングは少なく、水面をなめるように安定した走りだった。スプレーを浴びながらダッシュしてみるが、自然にバウが上昇して決して沈み込むことはない。沖でパドリングを止めて、強風にしばらくさらされてみたが、素直に風に流されて艇が真横を向き、風向に対してガンネルが垂直になった。風圧にバウと、スターンが均等に流れてくれるので強風の中でもコントロールしやすいことが証明された。追い風追い波で漕いでみたが、やはりクロシオである。軽快に波に乗ってプレーニングした。大きめの波で思い切った前傾姿勢を取ってみるが、バウが沈み込む事は無く安定していた。 おわりに 上陸してからは、しばらく満面の笑顔を崩せなかった。時化の海を漕いだ後のパドリングハイ症状もあったが、試乗結果が想像以上に満足のいくものだったからだと思う。クロシオを水洗いした後、ハッチを一つづつ確認しながら開けてみた。3つのハッチの中は、完璧にドライだった。デッキが頻繁に水没する厳しいコンディションで、充分過酷にテストした結果である。通常の使用には、全く問題が生じないであろう。しかし、コックピットハッチのみ僅かに漏水してしまったが、用途的に開閉の簡便性を優先している構造なので、現段階ではしかたがない。しかし、今後の課題の一つである。 10年以上乗り続けて来た愛艇クロシオが、さらに素晴らしく進化してくれた。私にとって、こんなに嬉しく幸せなことはない。このシーカヤック史に残るであろうカヤックの誕生は、私のカヤック人生において何らかの変化をもたらすかもしれない気がする。もう一歩先に行くことができるパスポートを取得したような、ワクワクする冒険心を持ってしまった。 |
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